起業家として知っておきたい vol.3定款に記載する事業目的について
定款には、その会社がどういった業を行うのか、あるいは将来どういう事業を行っていくのかを定める必要があります。
その記載方法については、会社法の施行により、包括的な表現も許されるようになりましたので、次の4つが満たされる事業目的であれば、受け付けてもらえます。
その4つとは、
になります。では、ここから、その4つを説明していきますね。
「適法性」とは、法律に違反している事業ではない、という意味です。
例えば麻薬の売買等が挙げられます。麻薬は麻薬取締法により売買はもとよりその所持さえ禁止されているものですから、それを目的とした事業は「適法性」の要件を満たさないので却下になります。
犯罪を前提としていたり、公序良俗に反している事業は認められないということです。当然といえば当然ですね。
「営利性」とは、その事業が利益を上げることを目的としているか、ということです。会社は利益を追求する組織であり出資者(株主)に、より多くの配当を目指す義務があるので、その目的は当然、営利性がなくてはなりません。
「具体性」については緩和されたので、たとえば「商業」や「事業」「サービス業」という記載方法でも通るには通るようになりました。
しかし次の「明確性」の要件がありますので、あまりに抽象的過ぎるものは避けるべきです。許認可の必要な事業であれば、申請に支障をきたす可能性が高いので、なおさら気をつけるべきです。
「明確性」とは目的の意味がはっきりと分かるかどうか、がポイントです。
これらの要件をクリアしているかを最終的に判断するのは、法務局にいる登記官です。ここで蹴られてしまうと、せっかく公証人の認証を受けた定款もやり直しということになってしまうので、事業目的が決まったら、一度、法務局の相談窓口で確認すると良いかもしれません。
新会社法が施行されてからは、目的の記載方法で蹴られる可能性は低くなりましたが、類似商号の件も含めて、自己責任の範囲が広くなったということですから、その点はしっかりと頭においておきましょう。
さて、もう一つここで気をつけたいのは、目的を設定する時に将来をしっかりと見据える、ということです。
最初は行わない事業内容であっても、将来的にする可能性があるのであれば設立時の段階で記載しておく方が、後で定款変更をする必要がなくなります。
定款に記載する目的の数に制限はありませんので、少しでも可能性のある事業であれば、記載しておいた方が無難だといえるでしょう。
一定の事業を行うためには許認可が必要な業種もあります。
この許認可申請のときには、定款の提出を求められることも多く、事業目的に不備があると許可が下りず、その事業を行うことは出来なくなってしまいます。
具体的には、建設業、不動産業、飲食業、労働者派遣事業等があります。
特に建設業では、定款にどういった目的が記載されているかで取得できる許可が決まり、細分化されているので注意が必要です。
このように、定款の事業目的に不備があれば、当然定款を変更しなければなりませんので、大切なタイミングを逃してしまうことも考えられます。余計な時間や費用もかかってしまいます。
以上を踏まえて、事業目的の設定は慎重に行いましょう。
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